医療機器のQMS構築・運用において、多くの企業が直面する課題は驚くほど共通している。紙ベースの管理、属人化した業務、リモートワークへの対応、そして慢性的な人材不足。これらの課題を日々目の当たりにしているのが、医療機器専門の薬事申請コンサルティングを手がける薬事支援機構だ。
同社は、ベンチャーから大企業まで幅広い医療機器メーカーのQMS構築を支援してきた。そんな「現場を知るコンサルタント」が、なぜQMSmartをクライアントに推奨するのか。その理由と、QMS電子化がもたらす真の価値について話を聞いた。
スタートアップから大企業まで、共通する3つの課題
──薬事支援機構様の事業内容について、改めてお聞かせください。
百武氏: 医療機器専門の薬事申請コンサルティングをメインにしています。具体的には薬事申請周りのお手伝いと、許可に関わるQMSの体制構築支援、そしてISO13485の支援です。臨床試験のサポートや、非臨床試験のプロトコル確認、場合によっては病院をつなぐような仕事もしています。
クライアントの約6割がベンチャー企業で、その中には外資系の日本支社を作るケースと、日本のベンチャーの両方があります。残り4割は大企業と呼ばれるような医療機器メーカーさんです。
──どのような課題を抱えて相談に来られることが多いのでしょうか?
百武氏: 最近特に多いのは「SaMDの申請をやったことがないので教えてほしい」という相談ですね。薬事の課題としては、新製品の申請が分からないという基本的なものから、他のコンサルにお願いしていてうまく申請が取れないので何とかしてほしいという、セカンドオピニオン的な案件もあります。
QMSに関しては、約8割が新規で業許可を立ち上げるパターンです。残り2割は更新時や適合性調査前に「QMSを全くやっていないので何とかしてほしい」という緊急対応ですね。
──紙ベースでの管理が多いのでしょうか?
百武氏: ほとんどが紙ですね。たまに問題になるのが、大企業で経験を積んだ担当者が、そのまま大企業のやり方をベンチャーに持ち込んでしまうケースがあることです。ベンチャーは人が少ないので、大企業のやり方をそのまま持ってくると、分厚いマニュアルになってしまうため、規模に合わせて修正する必要があります。
実際、せっかく経験者を雇っても、素晴らしいシステムはできるけれど、結局回らない。「こんなのできない」となってしまうんです。
「これだ」と確信したQMSmartとの出会い
──QMSmartを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
百武氏: 知り合いがPRタイムズの記事を送ってきて、「これ、関わってます?」と聞かれたんです。実は私も以前から、こういうシステムを作りたいと思っていたんです。すぐに連絡させていただきました。
──見た時の印象はいかがでしたか?
百武氏: めちゃめちゃワクワクしましたね。「これだ」と思いました。特にSaMD系のベンチャーは、せっかくソフトウェアで開発していて、リモートワークも多いのに、紙で管理するのは本当にもったいないと思っていました。
実は以前、GitHubやGitLabで無理やりシステムを作ろうとしたこともあるんです。でも、マークダウンの記法が独特で、エンジニア以外には使いづらい。入力フォームもないですし、いろいろ問題が出てきました。専用のシステムが欲しいとずっと思っていたところに、QMSmartが現れたんです。
コンサルタントが評価する4つのポイント
──具体的にQMSmartのどこを評価されていますか?
百武氏: まず、クラウドベースであることとコストパフォーマンスの良さです。そして、私が一番気にしていたのがワークフロー機能。作成・確認・承認と順番に承認していく階層構造ができるかどうか。GitHubだと承認者がいきなり確認することも可能で、階層にできないんです。これがずっと欲しかった機能でした。
AI機能も注目しています。運用が始まった時にかなり説明しやすいと思っています。ただ、AIが出した答えが正しいか見極めるスキルを持った人が使わないと、変な方向に行かないか少し心配もありますが、便利ツールとして使う分には非常に有効だと思います。
──Part11やER/ES指針への対応についてはどう見ていますか?
百武氏: 実は同業他社の方と話していて感じたのですが、医療機器のQMSに慣れている人ほどソフトウェアバリデーションを厳密にやっている会社は少ないと感じています。「大体これぐらいやっておけば大丈夫」くらいで。一方で、新規参入される会社や、特に製薬業界から来られた方はものすごく気にされます。製薬はやっぱり厳しいので。
ただ、QMSではソフトウェアバリデーションが明文化されていて、規制要求として求められているので、やはりしっかりと準備する必要があると考えています。そういう意味で、QMSmartにバリデーション文書のテンプレートが用意されているのは、非常に有用だと思います。
全企業に推奨したい、その理由
──どのような企業にQMSmartを推奨されますか?
百武氏: 正直言うと、全企業に推奨したいです。本当に良いシステムなので。特に、リモートで働く方が多い会社や承認者が忙しくなかなかつかまえられない会社には最適です。スタートアップだけでなく、成長期の企業や大企業にもフィットすると思います。
簡単に管理をしたい、抜け漏れを減らしたい、ルーチンワークをできるだけ人に依存せずシステムに乗せたいという会社なら、QMSmartは非常に有用です。
──QMS電子化を躊躇している企業へのアドバイスはありますか?
百武氏: QMSへの投資は、医療機器メーカーにとって決して小さくない投資です。でも、インシデントが一つ起これば全然違います。例えば、外国製造業者の認定更新を忘れていてギリギリで更新したことやQMS適合性調査時に承認印が抜けていたり日付が間違っている処理を見つけたことはありませんか? そういうヒヤッとした経験があるはずです。
システムを入れればアラートが出て、CAPAも漏れなく対応できます。変更管理も確実にできる。それに、今まで上長に判子をもらうために追いかけ回していた時間がなくなる。その分、一人分の工数が減るんです。
パッケージ化で広がる可能性
──今後の展開についてはどうお考えですか?
百武氏: すでにQMSmartと当社のQMSテンプレートをパッケージにして販売を開始しています。スタートアップ向けの安価なプランもあるので、「他の会社のコンサルは高いけど、うちは文書テンプレート付きで安価でできます」という形で、導入支援したい。
また、QMSに対する理解が薄い会社も一定数あります。「こんなにQMSにお金がかかるの?」「面倒くさい」という声もある。そういう方向けのセミナーなども開催できれば、ニーズが広がると思います。
──機能面で期待することはありますか?
百武氏: アウトプット機能があると響く人が増えると思います。例えば、苦情報告書の自動作成、マネジメントレビューのデータ自動分析、最新の法規制通知の配信など。こうした「何かをアウトプットする機能」があると、より多くの担当者に有用になると考えています。
業界標準を作り、全体の底上げを
──最後に、医療機器業界のQMS電子化について、どうお考えですか?
百武氏: 今は各社がバラバラなシステムで運用しています。もし、QMSmartとテンプレートで固めた標準システムを作って、運用するようになれば、出てくる課題も共通化されます。そうすれば、もっとシステムも改善できるし、業界標準のようなものができるかもしれません。
大企業も中小企業も、課題は意外と共通しています。CAPAの管理ができていない、苦情がさばききれない、仕組みとして機能していない。規模の違いはあっても、QMS部門は多くても20人、中小なら2〜3人で回している。みんな本当に大変なんです。
AIがどんどん賢くなっていく中で、その賢さを活かしてQMSmartがより使いやすくなっていけば、業界全体の底上げにつながると思います。それが結果的に、患者さんの安全にもつながるはずです。
(取材・執筆:株式会社Berry)
