2021年設立のPicture Technology株式会社は、光学設計と機械設計を軸に、眼科手術や診断で使用される光学機器を提供する医療機器メーカーだ。レンズを中心とした医療機器と映像機器を組み合わせた製品を展開している。同社は創業間もない段階からQMS構築に取り組み、効率的な品質管理体制の確立のためにクラウド型eQMS「QMSmart」を導入した。
経営トップとして自らQMS構築を主導した同社の安田社長に、導入の背景から実際の効果まで、詳しく話を伺った。
ゼロから構築したQMSが直面した課題
──まず、Picture Technology様の事業内容について改めてお聞かせください。
安田氏: 私たちは2021年に設立し、光学設計と機械設計をメインに、眼科医師が手術や診断で使用する光学機器を提供しています。手術や診断で患者様の近いところで使われる機器なので、品質管理は会社の最重要事項として捉えています。
現在は10名程度の小規模な体制で運営しており、慢性的に工数が不足している状況です。1人当たりの仕事量も非常に多く、裁量も大きい、典型的なスタートアップの環境ですね。
──QMSはゼロから構築されたとのことですが、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
安田氏: 社内にQMSに詳しい人材がいなかったため、本当にゼロから構築していきました。紙ベースでの管理をしていたのですが、いくつもの課題がありました。
まず、QMSのタスクが属人化してしまい、手順の進捗状況が全く見えない状態でした。現場に行かないと何がどこまで進んでいるのか分からない。書類や記録の検索にも膨大な時間がかかっていました。「どこに文書があったかな」「どこに記録があるかな」と、紙ベースの記録を探すのに非常に時間がかかっていたんです。
さらに、最新の法規制に適合しているのか、情報収集の抜け漏れがないか、常に不安を抱えていました。タスク漏れも頻繁に起きていて、例えばクレーム処理をしなければいけないのに対応が追いついていない、というようなことがありました。
AIチェック機能とコストパフォーマンスが決め手に
──そのような課題を抱える中で、QMSmartを導入しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
安田氏: 他のeQMS製品も検討しましたが、QMSmartを選んだ理由はいくつかあります。まず、イニシャルコストがほぼかからないという点。スタートアップにとって、これは重要な要素でした。
次に、AIチェック機能の存在です。自分たちが構築したQMSが最新の法規制に適合しているかを、AIを使って確認できるというのは非常に魅力的でした。私たちのような、ゼロから構築した会社にとって、これは心強い機能です。
また、インターフェースを見たときに、本当に使いやすくてタスクが一元管理できることが分かりました。これなら社内に展開できると感じました。
──導入のスピード感はいかがでしたか?
安田氏: 問い合わせをしてから導入までは非常にスピーディーでした。どのようなプロセスで導入していくかという説明も最初にあったので、自社との統合がすぐにイメージできました。これは非常に良かった点です。
段階的導入で現場の理解を獲得
──導入時、社内からの反応はいかがでしたか?
安田氏: 今まで慣れていた紙での管理が便利だと感じている人も一定いましたし、「入力することに慣れが必要で、余計に時間がかかってしまうのではないか」という意見もありました。
──そのような懸念をどのように解消されたのでしょうか?
安田氏: 私たちは最初から業務効率を上げることを期待していたので、最も重要な文書のタスク化から進めていきました。日常的に業務に携わっている全員がシステムに触れる機会を増やすことで、使い勝手の良さを実感してもらえました。
使っていくうちに「このシステムを使った方が効率が上がる」と現場が実感してくれたことが、導入成功の鍵でした。いきなり全部をやるのではなく、優先度の高いものから段階的に進めたのが良かったと思います。
──バリデーション(CSV)についてはいかがでしたか?医療機器業界では重要なポイントですよね。
安田氏: そうですね。私たちはソフトウェアに関しては素人でしたが、Berryさんからソフトウェアバリデーション(CSV)関連のドキュメントやフォローアップをいただいたことで、何をしなければいけないかという全体像が分かりました。安心して進められましたし、重要な文書に関しては1週間ぐらいでタスク管理ができるようになりました。
その間、適切にフォローアップしていただいて、私たちのやりたいことと業界標準を合わせて構築できたことを実感できました。
見える化と効率化がもたらした大きな変化
──導入後、どのような効果を実感されていますか?
安田氏: 効果は多岐にわたります。まず、文書管理において自分たちの体系を崩さずに実装できました。その中にあるタスクやCAPA管理、教育訓練も一元管理できるようになりました。「やらなければいけないことが、いつ、誰が、どのようにやらなければいけないか」が明確になったことで、抜け漏れ防止に大きく貢献しています。
文書検索の効率化も劇的でした。紙ベースで1時間ぐらい探していたものが、今では数秒で見つかります。これは本当に大きな改善です。
教育訓練の体制も大きく変わりました。以前は体制自体が整っていなかったのですが、QMSmartのAIテスト機能を活用することで、専門のチームを作らずに教育を実施できるようになりました。工数が大幅に削減されました。
──AIの活用について、具体的にどのような場面で役立っていますか?
安田氏: AIは主に2つの場面で活用しています。
1つ目は、品質管理文書や手順書が最新の法規制に合っているかのAI文書チェックです。ゼロから構築したので解釈の違いや間違いがあったのですが、それをAIが指摘してくれます。AIの回答をそのまま鵜呑みするべきではないと考えていますが、「手順書にも反映しなければいけない」という議論ができるようになり、改善につながっています。
2つ目は教育訓練のAIテスト生成機能です。このテストが非常に秀逸で、面白く学習できます。テスト結果から従業員のスキル把握もでき、「どの情報がよく理解されていないか」という教育の過程も把握できるのが素晴らしいです。
──現場の方々の反応はいかがですか?
安田氏: 特別な講習を受けたわけではないのですが、「直感的に使える」という声が多く聞かれます。何より「タスクが一覧で見られて、やらなければいけないことがすぐ分かる」という点を、みんなが評価しています。
タスク漏れも日常的に起きていたものがなくなり、これが最も大きな効果かもしれません。
QMS電子化を検討する企業へのメッセージ
──最後に、QMS電子化を検討している企業へのメッセージをお願いします。
安田氏: 弊社のようにゼロからQMSを構築する企業、スタートアップには間違いなく適したソリューションだと思います。
また、私は以前、大手医療機器メーカーで働いていましたが、苦情の管理や従業員教育は非常に大きなコストになっていました。QMSmartを用いれば、こうした大手企業でも価値を発揮すると思います。
(取材・執筆:株式会社Berry)
