専任の品質保証担当者を置けなくても、「監査に強いQMS」は実現できる

〜AI文書チェックを武器に紙運用から脱却した、医療AIベンチャー JLK Japanの選択〜

株式会社JLK Japan事業統括本部長工藤 正幸
専任の品質保証担当者を置けなくても、「監査に強いQMS」は実現できる

この記事のポイント

課題:紙ベースのQMS文書管理は、業務効率・監査対応の両面で限界。一般的なクラウドストレージでは、監査対応やSOPの統合管理といったQMS特有の要件を満たせなかった

決め手:最新の規制通知をもとに文書をチェックし修正案を提示するAI機能と、SOPに基づく試験作成機能。教育用ソフトを別途導入するコストも不要に

成果:承認フローの見える化で遅延・ミスを防止し、監査時の説明もスムーズに。月額10万円程度で、専任の品質保証担当者に匹敵する価値を実感


株式会社JLK Japanは、人工知能(AI)を用いた脳卒中などの画像診断支援プログラムを開発・販売する医療機器企業である。2014年に韓国で設立され、韓国取引所KOSDAQ市場に上場するJLKグループの日本法人として2019年に設立され、製造販売業許可の取得を経て本格的な販売を開始した。医療機器業界では、QMS(品質マネジメントシステム)に基づく文書管理と監査対応が事業の生命線となる。一方で、限られた人員でこれを維持し続けることは、規模の小さい企業ほど重い課題としてのしかかる。

同社は、紙ベースの文書管理から脱却するため、品質管理文書システム「QMSmart」を導入した。医療従事者としての業務、医療機器の開発・臨床開発、治験プロジェクトマネジメントまで幅広い経験を持ち、QMS維持管理の重要性を知り尽くす事業統括本部長の工藤正幸氏に、導入の背景と決め手、そして運用の成果について話を伺った。限られた人員でQMSの維持に向き合う企業にとって、実践的なヒントとなる事例である。

QMSの「重さ」を知り尽くした責任者が、なぜ選んだのか

──まず、JLK Japanの事業内容と、工藤様のご経歴についてお聞かせください。

工藤:当社は、人工知能を用いた脳卒中などの画像診断支援プログラムを開発・販売しています。JLKは2014年に韓国で設立され、日本法人であるJLK Japanは2019年に設立されました。その後、製造販売業許可を取得し、本格的な販売を開始しています。

私自身は、診療放射線技師としてキャリアをスタートし、その後はCT装置の営業・開発、医療機器の臨床開発、治験のプロジェクトマネージャーなど、医療機器に関わるさまざまな立場を経験してきました。こうした経験を通じて、QMSの維持管理こそが医療機器事業の土台であることを痛感してきたことが、文書管理システム導入の背景にもつながっています。

紙でも、汎用クラウドストレージでも足りない——QMS特有の要件という壁

──QMSmart導入前は、どのような課題を抱えていらっしゃいましたか。

工藤:当初、QMSの文書は紙ベースで管理していました。しかし、業務効率の面でも監査対応の面でも、紙のままでは限界があり、電子化は不可欠だと判断しました。

──電子化にあたって、他の選択肢も検討されたのでしょうか。

工藤:一般的なクラウドストレージの活用も検討しました。ただ、監査対応やSOP(標準作業手順書)の統合管理といった、QMS特有の要件を満たせるかという観点で見ると、汎用的な仕組みだけでカバーするのは難しいと考えました。その要件に応えられるシステムとして、QMSmartの導入を決めました。

規制の更新にAIが追随する——人的ミスを防ぎ、教育コストも増やさない

──数あるシステムの中で、QMSmartを選ばれた最大の決め手は何でしたか。

工藤:一番の決め手のひとつは、AIによる文書チェック機能です。最新の規制通知をもとに文書をチェックし、修正案まで提示してくれます。人的ミスを防ぎながらコンプライアンスを維持できる、効率的な運用が可能になりました。規制の更新が続く医療機器の世界では、これは非常に大きな価値です。

──もうひとつの決め手として、教育訓練の機能も挙げていらっしゃいますね。

工藤:はい。教育訓練では、客観的な評価ツールが必要になります。QMSmartには教育訓練のための試験作成機能があり、SOPに基づいた試験を客観的な点数評価で実施できます。別途、教育用のソフトウェアを導入する必要がなく、そのコストを削減できる点も評価しました。

──監査対応の観点では、いかがでしょうか。

工藤:システム自体が定期的にアップデートされ、その情報がきちんと共有される点は、監査対応において非常に重要です。「システムが正しく管理されている」ことを証明できるのは、監査官に対しても有効だと考えています。

SOPをゼロから作り直しても、数か月で本格運用に乗せられた

──導入はどのようなスケジュールで進められたのでしょうか。

工藤:業許可を取得した後、まず試験運用からスタートし、翌々月には本番環境へ移行しました。QMSmartの導入を機に、それまで紙ベースで運用していたSOPをすべて再構築することにしたのです。この作業を経て、導入から数か月で本格的な運用体制を確立できました。

──SOPの再構築を経て、現在の運用状況はいかがですか。

工藤:操作性は非常に良く、文書の登録も承認フローも円滑に運用できています。再構築を経て、QMS全体をQMSmartの上で一元的に回せる体制になりました。

承認フローの見える化が生んだ、「監査に強い」日常

──導入後、どのような効果を実感されていますか。

工藤:まず、電子化によって物理的な文書スペースが不要になり、紙代やインク代といった経費も削減できました。それ以上に大きいのは、承認フローが可視化されたことです。承認の遅延やミスが防止され、監査の際の説明もスムーズになりました。業務効率は大幅に向上したと感じています。

──運用面でのサポート体制はいかがですか。

工藤:毎月のミーティングを通じたサポートは、当社にとって非常に価値のあるサービスだと感じています。今後もぜひ継続していただきたいですね。

月額10万円程度で「専任の品質保証担当者」級——小規模ベンチャーにこそ

──最後に、どのような企業にQMSmartを勧めたいとお考えですか。

工藤:小規模なベンチャー企業や、医療機器関連の企業には強くお勧めします。月額10万円程度のコストで、専任の品質保証担当者の人件費を削減できるほどの価値があると感じているからです。コンプライアンスの遵守と内部監査への対応において、非常に有効なシステムだと思います。

(取材・執筆:株式会社Berry)

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